怪盗プリンセス
「サクラさん、魔物なんて本当に存在するんですか?」
【少なくとも、魔物と呼べる存在なら、私達の目の前にいますよ。】
「プリンセスは、人間では無いんですか?」
【少なくとも、普通の人間ではありません。貴方もプリンセスも、自然治癒能力が高過ぎます。それに、DNAが異質です。】
サクラの言葉に、ジューンが首を傾げ、プリンセスは椅子から立ち上がった。
「サクラ、ジューンに余計な事を吹き込まないでくれるかな?」
【どうしてですか?何か問題でも?】
「いずれ、君には話すよ。」
【わかりました。今夜、伺います。】
サクラが、プリンセスに頭を下げ、部屋から出て行った。
「プリンセス、何を隠しているんですか?」
ジューンが、真っ直ぐプリンセスを見た。
黒い瞳が、一瞬紅く煌めく。
「時が来たら話すよ。時が来たらね。」
プリンセスが、ジューンから目を逸らして言った。
「わかりました。」
「ジューン、今日はもう休んだほうが――顔色が悪い。」
「大丈夫です。続きを――」
次の瞬間、ジューンが椅子から崩れ落ちた。
プリンセスが、慌ててジューンを抱き起こし、額に手を当てた。
「熱い………」
プリンセスは、ジューンを抱き上げて、彼の部屋に向かった。
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