とんでも腐敵☆パートナー
「吐き出せ! 致死量に達するぞ!」
 
 俺は慌てて拝島の顔を覗きこんで言った。
 
 だが拝島は頑固にも口を動かし続け、全て飲み下してしまったのだ。
 
「……拝島。お前ってやつは……」
 
 目を潤ませながら賞賛の眼差しを送る高地。
 
「どう? どうでした拝島さん?」
 
「うっ……。うん……。確かに、唐揚げの味が、したよ……。微かに」
 
 儚い笑顔を浮かべて拝島は言った。
 
 顔色は病人のような青白さで。
 額には汗の玉を浮かばせて。
 
 その笑顔は後光が差す程に神々しかった。
 
「聖人とは、こういう人のことを言うのね……」
 
 拝島の笑顔は、クールな立倉の心をも打ったようだ。
 
「良かったー。今度はもう少し上手く作ってみせますから、今日のところはこれで勘弁してください。あ、おにぎりも食べます?」
 
 すっかり機嫌の治ったグリコがニコニコ顔で言う。
 
「お前はもう料理禁止だ! 二度と作ってくるな!」
 
 脳天から拳骨を食らわせ、厳重注意しておいた。
 
 
 
 
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