とんでも腐敵☆パートナー
 祥子達の元に戻ると、祥子はすっかり生気を取り戻していた。
 
「氷が溶けちゃったな……やっぱかき氷じゃ足りないか」
 
 拝島さんが、たぷんと揺れるビニール袋を陽に透かしながら呟く。
 
「あたし、コンビニで買ってきます!」
 
 すかさず手を上げて言った。
 
 地元の商店街の方に確かコンビニがあったはず。
 
 パーカーを羽織り、財布を持って出かける。
 
「一人で行動するな」
 
 朽木さんがついてきた。
 
「心配性……でもないか。さっきの奴ら、気になるもんね」
 
 横に並ぶ朽木さんを見上げて言うと。
 
「お前は時々鋭いな」
 
 なにやら感心された。
 
「いかにもなんか企んでそうだったもんね。報復のチャンスを待ってるのかな」
 
「待ってる……つもりではなさそうだったな。人気のないところを通った途端、襲われる可能性は十分にあるが……それを狙ってる風じゃなかった」
 
 あたしはうんうん頷いて早足で歩く。
 あんまり長い間、皆と離れてるのはよろしくなさそうだ。
 
「もし奴らが襲ってきても、お前は手出しするな。結構無茶する体質のようだが、人には向き不向きがある。自分にできることだけをやれ」
 
 あたしは笑わざるを得なかった。
 
「例えば、逃げるとか? 警察を呼ぶとか? うん、いかにもあたしの役目だね」
 
 所詮、非力なオンナですから。
 
 まぁ実際のところそれが精一杯だろう。
 
 納得いかないといえばいかないけど、そうそう運は味方してくれない。人間、見切りも必要なのだ。
 
 
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