とんでも腐敵☆パートナー
<<<< 朽木side >>>> 
 
 グリコが期待以上の大音声を張り上げ、奴らを引きつけた。
 
 挑戦的なポーズも付け足して。
 
 まったく。どこまで怖いもの知らずなのやら。
 
 触発されたのか、男達はハンマーを投げ捨てて追ってきた。
 
 そのまま逃げれば、痛い目に遭わずに済んだかもしれないのに、馬鹿な奴らだ。
 
 しばらく走り、商店街の入り口まで男達を誘い出す。
 
 全員動けなくするのは少し骨かもしれないが、少なくとも二人は全治二ヶ月の重傷を負わせてやるつもりになっていた。
 
 
 奴らは――拝島の車を狙った。
 
 
 俺の車なら、まだ情状酌量の余地もあったものを。
 
 もう……許すわけにはいかない。
 
 
 足を止め、身を翻して男達を迎える。
 
「てめぇっ!」
「ぶっ殺す!」
 
 完全に、頭に血が昇ってるようだ。
 自分達が誘い出されたとも気付いていない。
 
 本当は駐車場でそのままやり合っても良かったのだが、俺をすり抜け、グリコを追われるのも面倒だった。
 
 グリコが店に逃げ込めば、追うのを諦め、全員俺にかかってくるだろうと踏んだのだ。
 
 それに商店街の道は狭く、俺が立ち塞がれば逃がすことはない。周囲を囲まれる可能性も少ない。加えて刃物を抜かれる危険性も若干減る。そう総合的に判断した。
 
 背後でグリコが誰かに呼びかける声が聞こえ、少し安心する。
 
 これでもうグリコが狙われることはない。
 
 ぎゅっと拳を握り締め、目前に迫る男達に、自ら踏み込んでいった。
 
 
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