とんでも腐敵☆パートナー
 直線的に殴りかかってくる一人目は、軽くかわして足払いをかける。
 
 続いて殴りかかってくる一人は顎に掌底突きを浴びせる。吹っ飛び、後ろの二人を巻き込んで倒れてくれる。流れる動作で残る一人の懐に踏み込み、鳩尾に拳を叩き込んだ。
 
「ぐえっ!」
 
 絞りだしたような呻き声をあげ、うずくまる男。
 
 予想通り、大した連中ではない。
 
 だが。
 
 人間はそう簡単には気絶してくれないものだ。
 
 次々と立ち上がってくる男達に。
 
 気を――引き締め直す。 
 
 足をとられないよう注意しながら、再び順番に沈めていく。
 
 その時、視界の端に、一瞬グリコの姿が映った。
 
 なんだ?
 
 脇道に入って行く黒髪のポニーテールは、間違いなくグリコだった。
 
 何処に行く気なのか――。
 
 いや、そんなの考えるまでもない。
 
 あいつは、あいつの判断で、自分にできることをするつもりなのだ。
 
 あいつの負けん気の強さは身に染みて理解している。
 
 まったく――――とんでもない規格外品だ。
 
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