とんでも腐敵☆パートナー
 ゾンビのように立ち上がる男達に三度目の拳をお見舞いした時。
 
「うっ……くそっ」
 
 男の一人が、悔しそうに吐き捨て、俺に背を向けた。
 
 ――逃げるつもりか。
 
 さすがに拳ひとつで五人全員を再起不能にするのは難しい。木刀でもあれば別なのだが。
 
 一人が逃げだすと、他の連中もそれに倣う。
 
 俺の足元には、気絶した一人が転がってるのだが、走り出した三人はまだ動ける状態だった。
 
 相手をしている最中だった残る一人の後頭部に肘打ちを落とし、地面に這いつくばらせる。
 
 男がぴくりとも動かなくなるのを一瞥し。
 
 それから三人の後を追った。
 
 
 必死にもと来た道を逃げる背中は、既に小さい。
 
 何度この道を通ったことだろう。
 商店街から駐車場までの、緩いカーブを描く道を行く。
 
 途中、グリコが脱ぎ捨てたサンダルを見つけ、不覚にも笑ってしまう。
 
 程なく駐車場が見えてきた。
 男達は次々とそこに入っていく。
 
 奴らが逃げ込むところなど、確かにそこしかない。
 
 車に乗りこまれたら厄介だ。
 俺は追いかける足に力を篭めた。
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