とんでも腐敵☆パートナー
Act5. とんでも腐敵なキューッピッド!

5-1. 思い出に浸ると歳をとる

<<<< 栗子side >>>>
 
 長いようで短かった夏休みが終わった。
 
 思い返すとステキな思い出ばかりが脳裏に蘇える。
 
 
 朽木さんと言い合いしたり。
 怒鳴られたり、つきまとったり。
 下着盗もうとして頭に肘鉄食らったり。 
 
 ベッドに盗聴器仕掛けようとしてベランダから突き落とされそうになったり。
 
 ストーキング中に通報されて、危うく捕まりそうになったりもした。
 
 
 ついこないだのことなのになんだかとても懐かしい――
 
 
 盗撮中に石を投げてきた、あのガキんちょ共は元気にしてるだろうか。
 
 彼らの犬に追い回されたちょっぴり痛切ない経験。思い返すとホロリと泣けてくる。
 
 お尻の歯型は今でも残る乙女の勲章――
 
 
「いい加減にしろ!」
 
 そんなわけで、ついにキレた朽木さんに「グリコ禁止令」を発令されちゃって。
 
 拝島さんが誘ってくれなくなったから、宅配便装って朽木さんちに侵入しようとしたんだけど。
 
 あっさりバレて、ハエ叩きで叩き出され、トドメに殺虫剤を撒かれちゃって。
 
 ふふ、さすがに目に痛かったゾ☆
 
 だいたい今時ハエ叩きってレトロすぎね? 
 なんでそんなん持ってんの朽木さん?
 
 なんて疑問は、妙にきまってたハエ叩きを構える姿と共に、心の奥にそっとしまいこんだ。
 
 
 一生忘れられない、夏の思い出。
 
 
 きっと割烹着姿も似合うんだろうなぁ。
 
 とつい口に出てしまった言葉は顔面足裏蹴りで返されたりもしたけれど。
 
 そんな痛みさえ、楽しくて、
 
 楽しくて。
 楽しくて。
 
 思い返すとホロ苦い、だけどちょっぴり甘くてせつないひと夏の体験。きらきら輝く宝石のような思い出たち。
 
 
 大事な、大事な宝物――
 
  
 
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