とんでも腐敵☆パートナー
「そんなグリコちゃんに朗報!!」
 
 
「うひゃっ!」
 
 ばこんっ!
 
 なんだなんだ!?
 
 予想もしなかったところから声が上がったので、思わずお椀を声の主に叩きつけてしまった。
 
「ふ……今のは効いたよグリコちゃん……」
 
 あたしの顔の真横、すぐ耳元から聞こえる声に振り向いたら、そこにいたのは高地さんだった。
 
 額には丸い痕が薄っすら赤く色づいている。
 
 いきなり顔を突き出すからビックリしちゃったよ。
 
「ま、いいか、高地さんだし」
 
「グリコちゃん、声に出てる……」
 
 高地さんは若干淋しそうな顔でうなだれた。
 
 そんなのはどうでもいいけど。
 
「で、朗報って何ですか高地さん」
 
 ちょっと気になる言葉にお茶を一口飲んでから先を促してみる。驚いたから喉が渇いちゃったのだ。
 
「俺から依頼。引き受けてくれたら、報酬を払うよ」
 
 むむっ! ピクン、と耳が反応する。
 
「合コンですか?」
 
 高地さんと言えば合コンだ。
 
 可愛い子を連れてきて、ってところだろうか。
 
「違うよ! 合コンマスターの名はきっぱりと返上した」
 
 そんな名があったのか。いかにも高地さんらしい異名だ。
 
「返上って……あんなに合コン好きだった高地が? どうしたんだよ」
 
 拝島さんが心底驚いた顔で箸を止めて突っ込んだ。すると高地さんは「ふ……」となにやら二ヒルな笑みを口元に浮かべ、目を閉じて言ったのだ。
 
 
「俺は……ひとつの恋に生きることにしたんだ」
 
 
 ぶ――――っっ
 
 思わず飲みかけたお茶を噴いてしまった。
 
「汚いリアクション取るな!」
 
 ツッコミマスター朽木さんの言葉は無視して高地さんの顔をまじまじと見る。
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