とんでも腐敵☆パートナー
「ああ、分かるよソレ。祥子ちゃんってクールで格好いいよね」
 
 拝島さんが同意して頷いた。
 
 ぴくっと一瞬朽木さんの眉が動いたのは気のせいじゃないだろう。
 
 ぷぷっ。ジェラシってる。ジェラシってる。
 
「そうそう! それでいて、どこか放っとけない感じが可愛いんだよ!」
 
 と、顔を輝かせて力説する高地さん。
 
 しょ、祥子を可愛いって……。
 
 実はあたしもそう思ってるけど、それを本人の前で言うと半殺しにされるぞ、高地さん。
 
 しかし、秘かに感心する。
 
 意外と見るとこ見てるらしい、このヒト。
 
 あたしはちょっぴし気分良くなって残りのお茶をずずっと啜りあげた。
 
 祥子のいいトコ分かってくれる人がいるって、なんか嬉しい。
 
「まぁ祥子に惚れた気持ちは分かりました」
 
「グリコちゃん……俺の本気、分かってくれたかい?」
 
 妙なきらきらを振り撒く上気した顔であたしの肩に手を置く高地さん。
 
 うへぇ~……なんかキモイ。
 
 背筋に寒いものを感じつつも、とりあえず手は振り払わないであげた。
 
 だがしかし。
 
「で、もしかして依頼って、祥子との仲を取り持てとかですか? だったらお断りですよ」
 
 冷ややかな目で睨みながら言う。
 
 あたしだって、祥子が大事なのだ。こんなちゃらちゃらした脇役顔を祥子に近づけるわけにはいかない。
 
 高地さんは慌てて顔の前で左右に手を振った。
 
「そ、そこまでは言わないよ!」
 
 だが、完全には否定できないのか、その次はあたしの目線より低くしゃがむと、あたしを拝むようなポーズで、
 
「あ、いや、でも、その……い、一度だけでいいんだ。祥子ちゃんとのデートを、セッティングして欲しい!」
 
 泣き落とすかのように目をうるうるさせて言ったのだ。
 
 
 でっ。
 
 
 でぇとぉ!?
 
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