とんでも腐敵☆パートナー

5-3. ストーキングは犯罪だってば

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 時刻は9時。
 
 映画館のあるデパートの正面入り口にて。
 
 あたしは約束した映画を観にいく友達を、ちょっとそわそわドキドキしながら、たまに「お化粧濃すぎないかな?」「スカート短すぎないかな?」な~んて足元に気を取られたりしながら待っている――
 
 
 わけがなく。
 
 
 正面入り口からややはずれた場所、道路を挟んだ向こう側の植え込みの影に潜み、双眼鏡片手に待ち合わせの場所の様子を探っているのだ。
 
「ままぁー変な人がいるよぉー」
「しっ! 見ちゃいけません!」
 
 よく刈り込まれた腰の高さほどの植え込みの前で片膝をつき、顔半分だけ向こうに覗かせ双眼鏡を構える。そんなあたしの後ろを通り過ぎる人の中から、たまに気になる会話が聞こえてくるけど、多分あたしのことじゃないだろう。
 
 多分。おそらく。きっと。
 
「ねーねーナニしてるのおじちゃん」
 
「誰がおじちゃんだぁぁっ!!」
 
「うわぁぁ~~んっ! 怖いよままぁーっ!」
 
 振り返りつつ怒鳴るとちびっこは泣きながら母親のもとに逃げ帰って行った。
 
 ふ……世間は厳しいのよ坊や。
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