とんでも腐敵☆パートナー
「しょうがないわね……ま、ここで帰るのもバカみたいだし、せめて映画くらいは観て帰ることにするわ」
 
「やったぁーっ!!」
 
 直後、嬉しさのあまり跳ね上がった高地さんの浮かれ声がエントランス中に響き渡る。
 
 デート成立おめでとう! ちらっと振り返って二人を見る。
 
「ありがとう祥子ちゃんっ!」
  
 高地さんが両手を広げ、今まさに祥子に抱きつこうとしてるところだった。
 
 
『いきなりかいっ!!』
 
 
 次の瞬間。
 
 祥子のバッグを顔面に、あたしの投げたテニスボールを後頭部に食らい、セクハラ男は「んぎゃっ!」と悲鳴をあげた。
 
 こういうこともあろうかとポケットに忍ばせておいたのだ!
 
 ったく。油断も隙もないよこの男!
 
「な、なんか、今、前後から、痛みが……」
 
 あたしと祥子の同時攻撃を食らった高地さん、しおしおな突っ込みを入れながら、ぷしゅう~と地面にくずおれる。
 
「このバカ! 痴漢! 今度やったら承知しないわよっ!」
 
 祥子が追加の攻撃を加えてる間に、あたしと拝島さんはそそくさとその場を立ち去り、デパートの中に移動したのだった。
 
 
 
 
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