とんでも腐敵☆パートナー
 それから映画館に赴き、二人の後方の席を確保し、拝島さんが奢ってくれたポップコーンを頬張りながらの映画鑑賞となった。
 
 なんか映画代も拝島さんに奢ってもらっちゃって、悪い感じ。まぁ「ラッキー♪」の方が勝るんだけど。
 
 実はあたしも、この映画、ちょっと気になってたんだ。バカバカしいの大好きなもんで。
 
 しかし、映画は予想以上に下品なギャグのオンパレードだった。
 
 デートで観るもんじゃないでしょコレ……。いや面白いけど。
 
 ストーリーは浮浪者に近い無職男性が、ある日弱小プロバレーチームの練習場にやってきて、飛んできたボールをパンチで粉砕したら入団を頼まれて、それからとんとん拍子に大会を勝ち進んでいくというスポーツものサクセスストーリー。
 
 ボール粉みじんにしたら普通にダメだろとか、こんな危険人物試合に出すなよとか、色々突っ込みどころ満載。
 
 堪えきれずぷっと噴き出してしまう。
 
 笑い声が出そうになったところで横から肩を叩かれた。
 
 ぐっと息を止め、隣の拝島さんに顔を向ける。
 
 拝島さんは、立てた指を口元にやる「しぃ~」の仕草であたしを見てた。
 
 分かってる。分かってるよお兄ちゃん。声をあげたら気付かれちゃうもんね。
 
 分かっちゃいるけど、でもどうにもこうにも可笑しすぎてかっぱえびせんが止まらない状態なんだよ。
< 152 / 285 >

この作品をシェア

pagetop