とんでも腐敵☆パートナー
 同情的な眼差しを高地さんに送ると、高地さんは深くこうべを垂れ、へなへなと地面にへたり込んだ。
 
「そんなぁ~……うぅ……俺、まだちゃんと告白してないのに……」
 
 それは自業自得というか。
 
「いやだいやだぁ~~っ。お願い、祥子ちゃんっ! もう一度、もう一度だけチャンスをっ!」
 
 泣き叫ぶ高地さんをもう振り返りもせず、祥子はすたすたとあたしの元にやってくる。
 
 もはや興味なしといった風の氷の女王。
 
 祥子とは逆に、高地さんの元に歩み寄った拝島さんが、ポンとそのうなだれた肩を叩き、
 
「高地……えーっと……ドンマイ」
 
 
「うわぁぁぁ~~~~んっ! 終わってねぇっ! まだ終わってねぇよこんちくしょぉ~~~~っ!!」
 
 
「なんかおごってあげるからさ……」
 
「慰めるんじゃねぇてめぇっ! 俺はまだ諦めてねぇぞ! 恋は諦めたらそこで終わりなんだっ!」
 
「そうかなぁ……ここは男らしくきっぱりと諦めた方が」
 
「諦めないっ! 高地元治は不屈の男なんだっ! いつか……いつか必ず祥子ちゃんを振り向かせてみせるっ!」
 
 がばっと身を起こし、不死鳥の如く蘇えった高地さんが闘志に燃える瞳を祥子の背中に向ける。そして大きな声で叫んだのだ。
 
 
「待っててねぇ~~祥子ちゃんっ! 絶対君に相応しい男になってみせるからっ! 大好きだよぉぉぉぉ――――っ!!」
 
 
 うは。ホントにめげない人だ。
 
 呆れを通り越して感動すら覚えるよ。
 
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