とんでも腐敵☆パートナー
「行くわよグリコ」
 
 足を止め、呆れ混じりのため息をひとつ落とす祥子。高地さんの言葉も完全無視であたしを促す。
 
 いつもの絶対零度の口調。冷たい無表情。
 
 さっきまで確かにあった戸惑いや恥じらいの表情は、もうカケラも残ってない。
 
 やっぱり高地さん、望みゼロなのかな。
 
 最初こそ高地さんの軽薄さが信用ならなかったけど。
 
 本当に、真剣に祥子を好きな様子が伝わってきて。
 
 結構お似合いの二人なのかも……なんて、思えてこなくもなかったんだけど。
 
 
 高地さんをちらっと振り返ってまた祥子を見る。
 
 ――――――ん?
 
 あれ? もしかして。もしかするとだけど。
 
 
 ――高地さん、確かにまだ終わってないかもよ。
 
 
 あたしはなんだかウキウキしてきて、にやつく頬を抑えながら祥子の後を追いかけた。
 
 日没の闇がおりようとする道を、足取りも軽く駆け抜ける。背後のナンパ男にそっとエールを送りながら――
 
 
 
 
 再び歩き出し、あたしの前を通り過ぎる祥子の横顔。
 
 多分。きっと。気のせいじゃない。その横顔は――
 
 
 微かに、笑っていたのだった。
 
 
 
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