とんでも腐敵☆パートナー
「ど、うして……」
 
 コーヒーも淹れ直した方がいいかと思えた頃、ようやく口を開いた章の第一声はそれだった。
 
「理由をもう一度訊きたいのか? お前に飽きた――ただそれだけだ」
 
 再び沈黙が訪れた。
 
 章の小刻みに震える手に、光るものが落ちる。
 
 すくい取ってやりたい衝動はなんとか抑えた。
 
「僕の何に飽きたんです? 顔? 体? それとも性格? 直せるところは、全部直します」
 
 初めは小さかった声は、徐々に大きさ、滑らかさを増していく。
 
「冬也先輩がして欲しいことは何でもする。ベッドでのテクニックが不満なら、もっと勉強する。だから……だから先輩……」
 
 その先を聞く気はない。
 
「悪いが章」
 
 遮るように、俺は章の言葉を切った。
 
「一度言った言葉を覆すつもりはない」
 
 それが――最後通牒だった。
 
 
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