とんでも腐敵☆パートナー
「受け」
 
 商店街から、駅に向かってやってくる男子高生をひと目見るなりあたしは呟いた。
 
 部活なのか、休日なのに学生服着て肩にはボストンバッグ。頭がスポーツ刈りじゃないところがポイント高しのややイケメン。
 
 若さに溢れたしなやかな体に思わず涎が垂れそうになる。
 
 悪くない。うん、悪くない。けど。 
 
 惜しみつつレンズをずらし、今度は駅から出てくるこれまたイケメンの男性を目に捉える。
 
 一瞬判断に迷ったけど。
 
「ん~~~~~受け」
 
 導き出される答えは同じ。
 
 レンズの中で微笑む彼は、タンクトップ一枚で張りのいい上半身を半分露わにしたワイルド系。
 
 残念ながらカノジョ持ちらしく、待ち合わせしてたっぽい女性に手を振りながら駆け寄っていく。
 
 ちょいカノジョ不細工じゃない? 減点。
 
 ケッ、と小さく吐き捨てる。
 
 それからさらにレンズをずらし、またまた駅から出てくる男性、これまたイケメンなリーマンを見つけて――――
 
「ん~~~~~~~~」
 
 じーっと目を凝らす。
 
  悪くない。うん、悪くないんだけどね。
 
 その男性はとってもセクシーで、悪いところなんかどこにもない。
 
 大人の魅力十分な、半袖Yシャツスーツ姿のイケメンリーマン。
 さらに彼は、額の汗を腕で拭ういい感じのポーズもきめてくれる――のだが。
 
 
「どう見ても受け!」
 
 
 あたしはそこで双眼鏡を下ろし、手にしたマックシェイクのバニラ味をずずず~~~っと一気に吸い上げた。
 
 吸い上げつつも、視線はしっかり窓の外に固定されている。
 
 肺活量の限界まで挑み、シェイクを半分ほど飲み干した後、あたしはぷはぁ~~っとストローから口を離して思いっきり空気を吸い込んだ。
 
 それからばたっとテーブルに突っ伏し、ため息混じりに呟く。
 
 
「はあぁ~~~~~~受けばっかり」
 
 
 つまりはそういうことなのだ。
 
 
 
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