とんでも腐敵☆パートナー

6-4. 写真はやっぱりアナログです

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 週末は、あっという間にやってきた。
 
 午後のティータイムで心身共にリラックスさせた後、素早く支度を済ませ、マンションを後にする。
 
 人に会うとなると服装はスーツがいいかと思い、タイまで締めたが、実家に帰るのに堅苦しすぎるかと思い直して結局タイは外した。
 
 接待を要求されるような会食なら、一言あった筈だ。「夕食でも御一緒に」程度なら、適当でいいということだろう。
 
 夕刻の混みあった道路に車を走らせていると、携帯ホルダーに置かれた携帯電話が僅かに震えた。
 
 メールの受信。
 
 丁度信号で停まるところだったので、取り上げて新着メールを開く。
 
 グリコからだった。
 
 またくだらないメールかとため息をつく。グリコからのメールはそう頻繁にはないが、内容の大半は『イケメン情報』とかだった。
 
 大抵は馬鹿馬鹿しいタイトルの通りで、一笑に付して終わる。しかし、これがなかなか油断ならない。メールを開くと、いきなり男同士が裸で絡み合ってる画像などが展開されたりすることもあり、ぎょっとさせられる。そういう場合は即行削除だが。
 
 まぁ、中にはなかなか見目のいい男の写真もあったりもするので、そこそこ楽しめる。だが基本的に、俺は写真を愛でる趣味はないので迷惑千万だ。
 
 今回のメールも添付ファイル付きだった。
 
 開くか捨てるか一瞬迷った。また脱力するはめになりそうだとは思いつつも、一応開いてみることにした。
 
 だが、展開された画像は予想してたものとは違っていた。僅かに目を見開く。
 
 
 ――拝島の写真だった。
 
 
『最新癒し画像。秋の拝島さん。空気を吸い込む姿が爽やか♪ 待ち受け画面にでもどう?』
 
 思わず苦笑いがこぼれる。待ち受けになどできるわけがないだろうが。
 
 しかし――――
 
 
 あいつめ。タイミングだけは妙にいい。
 
 
 幾分か晴れやかになった気持ちで携帯を胸ポケットにしまった。
 
 
 
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