とんでも腐敵☆パートナー
「栗子ちゃんも乗る?」
 
 不意に、拝島さんがそう言った。
 
「えっ! いいんですか!」
 
「その辺一周するだけだから、あんまり面白くはないかもだけど」
 
「乗ります乗ります! 乗せてください! 土下座でも靴磨きでも何でもしますよ!」
 
「いやそこまでしなくていいよ……栗子ちゃんて面白いなぁ」
 
 くくく、と笑われてしまった。
 
「ほらほら、早く乗るぞ」
 
 不機嫌な顔の朽木さんが私の肩を押して、開いたドアの中に半ば無理矢理押し込んだ。
 
 デフォルトで後部座席ですか朽木さん。滅茶苦茶ジェラシってないっすか?
 
「大人しくしてろよ貴様」
 
 押し込みついでにぼそりと耳元に囁きかけてくる。
 
「ひとを暴れ馬みたいに」
「暴れ馬の方がまだ可愛気がある」
 
 まったく失礼な攻め男だよ。そこに萌えるんだけど。
 
 なんて思ってると、前の座席に拝島さんと朽木さんが乗り込んできた。
 
 おおっ。ここも絶好の萌えスポットかもしれない!
 
 座席に座るイケメン二人を後ろからじっくり眺めることができる。
 
 絶景かな絶景かな。
 
 あたしは思わず手を擦り合わせて二人の後ろ姿に向かって拝んでしまった。
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