とんでも腐敵☆パートナー
 鼻息も荒く彼の動向を見守る。一応朽木さん達の注文した物を用意しながら。
 
 やがて彼は力なく立ち上がり、重い足取りで移動を開始する。
 
 どきどきどきどき。
 
 だけどあたしの期待は裏切られた。
 
 朽木さん達の元に向かうかと思いきや、彼は店の入り口の前で足を止め。そのまま、店の扉をくぐって出て行ってしまったのだ。
 
 ぱちくり。
 
 どうしたんだろう。弱気くん?
 
 二人を見つめる目には確かに嫉妬の炎が宿ってるように見えたんだけど。
 
 出来上がったバーガーをトレイに載せつつ、首を捻る。
 
 なんだか店に来た時から沈んでたし、朽木さんと何かあったのかもしれない。
 
 あたしは二人の食べ物を載せたトレイを持って、二人の席に運んだ。
 
「はい、出来上がりましたよー」
 
「ありがとう、栗子ちゃん」
 
「朽木さんにはポテト、っと」
 
「おいこらなんだこの量は。袋に全然収まってないじゃないか」
 
 袋の上にこんもり積み上げられたポテトを指差して眉根を寄せる朽木さん。
 
「いやもー、朽木さんへの愛が溢れちゃって」
 
「むしろ恨みつらみを感じるぞこれは。嫌がらせとしか思えん」
 
「愛憎は表裏一体ですから!」
 
「イミがわからんっ」
 
 うへへへへ。やっぱ朽木さんとの掛け合い漫才は楽しいなぁ。
 
 怒鳴られたり罵られたりすることの快感といったらもう……。朽木さん中毒?
 
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