とんでも腐敵☆パートナー
「ところでな、グリコ……」
 
「ほい?」
 
 突然、改まって呼ばれて顔を上げる。
 
 にっこり爽やかな笑顔があたしを見下ろしてた。やばい。これは殺られる。
 
 咄嗟に走って逃げようかと思ったけど自転車があったので反応が遅れた。そしてあたしの頬はあっさり朽木さんの両手に捕まってしまったのだ。
 
「こないだのメールはなんだコラ。見苦しい写真送りつけやがって!」
 
「ふぎぃ~~~っっ」
 
 いたひいたひいたひ。
 
 思いっきりつねりあげられてますぅぅぅっ!
 
「ひゅ、ひゅみまひぇんれひたぁ~」
 
「お前のおかげで携帯が壊れたじゃないか! どうしてくれる!」
 
 それってあたしのせい?
 
 ようやく離してくれたほっぺを掌ですりすりしながらあたしは涙目でぼやいた。
 
「ちょっとしたジョークなのにぃ~。怒りんぼ~っ」
 
 そこまでお怒りになるとは思いませんでしたよ。あたし的には笑いのツボだったんだけど。あの画像見つけた瞬間、「ビリィ~~ッ!」て腹抱えて叫んじゃったもん。
 
「ったくお前は……」
 
 まだ怒りの冷めやらない朽木さん。思いっきりしかめた眉であたしを睨みつける。
 
 だけど次の瞬間。その顔が急に和らいだ。
 
 なんともいえない微妙な表情。
 
「……お前は…………」
 
 バカとかアホとか言いたいのだろうか。
 
 それはちょっと自覚あるけど。
 
 だけど朽木さんのその次の言葉を聞くことはできなかった。あたしのお腹が主張したのだ。
 
 
 ぐ~~~きゅるる~~~
 
 
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