とんでも腐敵☆パートナー
 
 ガァー
 
 店の自動扉が開き、次なるお客さんが入ってくる。トレイを拭いてる手を止め、定位置についてお出迎え。
 
「いらっしゃいませ~」
 
 入ってきたのは拝島さんだった。あれ? いつもセットの朽木さんがいない。拝島さん一人だ。
 
「拝島さんいらっしゃーい。今日は朽木さんは一緒じゃないんですか?」
 
 カウンターまでやって来た拝島さんに尋ねる。どことなく淋しそう。一人で夕食って淋しいもんね。
 
「うん、朽木、風邪でお休みなんだよ」
 
「ありゃ。朽木さんでも風邪になるんですね」
 
 重病に侵されてるならイメージつくけど、風邪なんかにかかるようには見えなかったので意外だ。ほら、美形に吐血はつきものでしょ?
 
「朽木は普段丈夫だから、その分たまにひいた時がひどいんだ。高熱でふらふららしいよ」
 
 高熱でふらふらな朽木さん! そ、それは見てみたい!
 
 でも押しかけてったら間違いなく怒るな。
 
 と、あたしの心を読んだのか、
 
「栗子ちゃん、お見舞いに行ったげてよ」
 
 拝島さんたら悪魔の誘惑。
 
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