とんでも腐敵☆パートナー
 そんな俺の煮え切らない態度の結果がこれだと、頭を殴られた気がした。
 
 もっと早くに離れてれば良かったのか?
 
 出会った時から拒絶してれば良かったのか?
 
 俺がいると章はますます自分を押し殺す。
 
 だけど結局どうあっても、俺は章を傷付けることしかできない――
 
 
 間に合わないと頭の隅で分かっていても、命を絶とうとする章に手を伸ばさずにはいられなかった。
 
 
 章――――!
 
 
 絶望が頭をよぎる。視界を闇が覆っていく。
 
 だが、もう駄目かと思ったその状況の中。
 
 
 俺にできないことを、やってのける奴がいた。
 
 
「だぁぁぁ――――っ!!」
 
 
 状況に不釣合いな雄叫びと共に、章に飛び掛かるオレンジの制服。お節介焼きな腐女子。
 
 お前、バイトはどうした?
 
 いくらなんでもその恰好で大立ち回りはないだろ。
 
 などという疑問が湧いたのは、もちろん事が終わってからだ。
 
 とにかく横から章に飛び掛ったグリコは、章ともつれるように倒れこんだ。
 
 衝撃でナイフが章の手から離れる。
 
 上に放り投げられる形となったソレは、宙を一回転し、重力に従い、落下する。
 
 床に倒れゆくグリコの頭へとめがけ――――
 
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