とんでも腐敵☆パートナー
「っ!!」
 
 だがグリコの悪運は並大抵のものではなかった。
 
 刃先はグリコの顔面すれすれを通過し、そのまま床に突き当たったのだ。
 
 カンッ
 
 とはいえど、映画みたいにザクッと突き立つことはない。
 
 床に弾かれ、小さな金属音を立てながらナイフは転がった。
 
 
「わひゃぅっ!」
 
 
 ――なんでこいつの悲鳴はこうも気が抜けるようなものばかりなんだ。
 
 
 ナイフが床を滑り、一回転して完全に止まった後。
 
 ようやく動き出した思考でまず考えたことはそれだった。
 
 
 
 
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