とんでも腐敵☆パートナー
 このお節介焼きの腐女子め。こいつに教えられたのは癪だが、まぁ今回は認めてやろう。確かにお前は俺のストーカーだと。
 
 とはいえ――
 
 
「だからといってスリッパはないだろ!? 落ち込んでる章に鞭打つ真似をっ!」
 
「大丈夫! 愛の鞭だからっ!」
 
 相変わらずこいつの言動は訳が分からん。
 
「お前の歪んだ愛なんか章にいるかっ! 勝手に押し付けるなっ!」
 
 また熱が上がってきた。頭痛も酷くなってくる。忘れていたが、俺はついさっきまで高熱を出して寝込んでいたのだ。
 
 そんな俺の血圧をグリコは更に押し上げるようなことを言う。
 
 ふっと淋しげな顔で俯き、
 
「愛って一方通行なものなのよ……」
 
「……俺も今、お前に全っ力で愛を叩き込みたくなったぞ」
 
 太い血管が一、二本ぶちっといきそうだ。
 
 そろそろ本気でぶちのめそうかと思った矢先。
 
「――ぷっ」
 
 
 俺の腕の中で、章が肩を震わせた。
 
 
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