とんでも腐敵☆パートナー
「くっ。くっ――あははははっ!」
 
 なんだ? 突然のことにポカンとなる。
 
 精神的に追い詰められたあまり発狂状態にでもなったのか?
 
「あはっ。あはははっ。バッカみたい……確かに。くくっ。ホントにそうだ! あははははっ!」
 
 俺が不安混じりに見つめる中、章は身を捩じらせて笑う。心底可笑しいという風に。
 
 先程とは違う涙を目に溜めながら、俺の腕から抜け出し、再び床に転がって笑い続けた。
 
「あははははっ!」
 
「章……?」
 
 これは、どうすればいいんだ? 止めた方がいいのか?
 
 そんな俺の心配をよそに、ひとしきり笑った後、ゆっくり身を起こしながら章は言った。
 
「はっ。はっ。ぼ、僕……そうだ。思い出したよ」
 
 目尻の笑い涙を指ですくい、俺を見上げた章の顔は、穏やかなものになっていた。
 
「先輩は憶えてないでしょ? 中ニの秋――成績が上がらなくて、僕は自殺まで考えて、屋上に昇ったんだ。そこにいたのが先輩だった」
 
 
『ここは今、俺の貸切だ』
 
 
 そう言って、俺は章がフェンスに近付くのを止めたという。
 
「死にそうな面でくんな、迷惑だ、そう言って先輩は僕を睨んだ。僕が屋上に来た理由を分かってるみたいだった。だから僕は、『もう消えてなくなりたいんです』って素直に話したんだ。そしたら先輩は――」
 
 
『諦める前にもっと足掻け』
 
 
 
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