とんでも腐敵☆パートナー
「そうか……頑張れよ」
 
 何故だか少し淋しく感じる。
 
 嬉しさと共に、逆に置いていかれたような、複雑な気持ちが湧きあがってくる。
 
 だがその後、少し頬を赤らめて、上目遣いに俺を見る章は、いつもの章に戻っていて。
 
「でも……やっぱりどうしても先輩に会いたくなった時は……また、会いに来てもいいですか?」
 
 思わず口元が綻んだ。
 
「ああ、たまにならな」
 
 はにかむように微笑む章。
 
 俺もまた、章の姿を見守っていきたい。
 
 これから章が選ぶ道を、近くで見てみたいという気持ちすらあった。
 
 だが、お互いの傷は深く、自然と隣に立てるようになるには、もう少し、時間が必要だろう。
 
 しばしの別れ――
 
 しかし次に会った時には、笑顔で話せるようになってるだろうと思える別れ。
 
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