とんでも腐敵☆パートナー
 きっともう章を見て、痛みを感じることはない。
 
 互いに笑みを浮かべながら、章と視線を交わした。
 
 じっとお互いの目を見つめ、新しい関係を築いていく意志を確認しあった。
 
 穏やかな気持ちになれていた。
 
 ――そのムードをぶち壊しにするグリコの声が耳に届くまでは。
 
 
「うわ。くっさぁ~。なんか安っぽい青春ドラマみたい」
 
 
「いっぺん死んでみるかお前はっ!!」
 
 カ――――ンッ!!
 
 どこからフライパンを取り出したとか、ありきたりな突っ込みは無しだ。いつでもグリコを殴れる準備はしてある。俺もこいつとの付き合いの中で色々と学んでるのだ。
 
 ともかく俺の渾身の一撃で、台無しスキルを常時発動させる腐女子は床に沈んだ。
 
 まったく、なんてはた迷惑な特殊能力だ。
 
 だが胸がすっとすると同時に、俺の体も床に沈んでいた。視界がぐにゃりと歪む。
 
 いい加減体力の限界にきてたわけだと理解しながら、薄れていく意識の中で。
 
 
 スリッパのお返しをしてやったぞざまぁみろ、と、奇妙な満足感に浸っていた――
 
 
 
 
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