とんでも腐敵☆パートナー
「うっ…………」
 
 が、ここでグリコの反応が少し予想と違うものであることに気付いた。顔色が青にではなく、赤に変わりだしたのだ。それもゆでだこ状に、病気かと思うくらい真っ赤になったかと思うと。
 
 
 
 ぽたっ
 
 
 
 ……ぽた?
 
 今見たものが信じられず、一瞬思考が停止する。
 
 一呼吸おいて、床に目を落とすと。
 
 赤。
 
 フローリングの床の上に、溶けずに膜を張る、赤い斑点。
 
 思考がゆっくり再開する中、続けざまに落ちてくる、またも赤い液体。
 その出所は、グリコの……。
 
 な。
 
 
 なんだとぉぉぉっっ!?
 
 
「こっ、このっ! なんだそりゃお前っ、ひとんちの床を汚すなっ!」
 
 途端、今までの雰囲気とは全く別の緊張感が生まれた。
 
「ら、らってくひきひゃん……めひゃくひゃよふぎる……」
 
「ティッシュ! テッィシュはどこだっ! あった、ほら拭けっ! なんつー量を垂らすんだお前はっ!」
 
 俺はデスクの上にあったティッシュを掴み取り、ダラダラと床に血溜まりを作り始めたグリコの鼻に押し当てた。
 
「くひきひゃん、もっはいゆっふぇー」
 
「喋るのは出血がおさまってからにしろ!」
 
 ティッシュはみるみる真っ赤に染まっていく。出血多量になりそうな勢いだ。
 
 この部屋が絨毯を敷いてなくて助かった。染み抜きが大変になるところだった。
 
< 42 / 285 >

この作品をシェア

pagetop