とんでも腐敵☆パートナー
 約束の時間になった。
 
 一応人との約束は守る主義なのできっちり時間通りに駅に着く。
 
 時間通りではあるが、どうやらあたしが最後だったらしい。あたしの姿を認めると、寺尾さん(今度は本当)は「さぁ行くよ!」と張り切って歩き出した。根っからの幹事肌な人だったようだ。
 
 女の子は、あたしを含めて四人。
 
 みんなばっちりメイクしてきてる。ナチュラルメイクといえど、してるとしてないとでは大違いだ。その化けっぷりには恐れ入る。
 
 あたしはというと、基礎化粧はしてるけどファンデーションの類はつけてない。地肌が白いのでつけてもつけなくても大差ないし。
 
 これは真昼に言わせれば「セールスポイント」らしいのだが化粧映えしないってのはどうなのよ。
 
 
 オンナ四人、男性陣への期待を話の華に、女子大生らしいきゃぴきゃぴさを振りまきながらしばらく歩いていると、カジュアルな雰囲気のバーに到着して、途端、女性陣の顔に緊張の色が浮かんできた。
 
 全員口をつぐんで、半透明のガラス扉をくぐる。
 
 店内は、青白い照明に彩られていた。
 
 ムーディなBGMも流れ、全体的に落ち着いた雰囲気を醸しだしている。
 
 程よくテーブルを仕切る、随所に置かれた観葉植物。白い制服のウェイター。
 
 お洒落。
 
 って、言うんだろうな。
 こういうところ。
 
 あたしはちょっと苦手だけど。
 
 
 奥に進むと、男性陣は既に到着してた。
 窓際の席で静かに座って待っていた。
 
 全員の顔を順に目で追い、あたしは心中「全員受け」とがっかりする。
 
 そこそこかっこいい人もいるにはいるけどあんまりランクは高くなかった。
 
 
 
『かんぱぁ~い!』
 
 
 全然乾杯したい気持ちにはなれないけど、だからといって一人で反発して雰囲気壊すほどあたしも子供じゃない。
 
 でも一次会が終わったら早々に退散しようと固く心に決めた。
 
 
 
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