とんでも腐敵☆パートナー
 
 ん?
 
 なんか、近すぎないか?
 
 名前も覚えてないその人は、どことなく厭らしい笑みを浮かべながら。
 
 
 どんどん、にじり寄ってくる。
 
 
 ちょっと待て待て?
 
 知らず、あたしは後ろにさがってたらしい。
 
 背中に建物の壁がぶつかった。
 
「どこかって……喫茶店ですか?」
 
 さすがにそんなわけがないとは分かってるけど。一応、訊き返しておいた。
 
「もっと静かな場所で、飲み直そうよ」
 
 はて。
 
 あたし、そんな誘いをかけられるような行為をしたかな?
 
 人の話を大人しく聞いてただけだし、化粧だって全然気合入ってない。
 
 それともこれはあたしの考えすぎで、単に他の店に行きたいってだけなんだろうか。
 
 男と女の駆け引きには詳しくないのでよく分からない。
 
 あたしが返答に詰まってると、その人はぐっと顔を近づけてきて言った。
 
 
「顔、赤いよ」
 
 
 
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