とんでも腐敵☆パートナー
「……お前相手に道理を説いても仕方ないか……そんなに入りたければ勝手に入れ」
 
 心の中で勝利のVサイン。
 
「勝手に入りまーす!」
 
 最近朽木さんは、あたしをどうこうするのを諦めつつある。あたしが絶対退かない奴だってのを理解してくれたようだ。
 
 あたしは二度目の突撃訪問を果たし、ソファーの真ん中にちょこんと座った。
 
 
 相変わらず広いリビング。
 
 確実に十五畳はあると思われるリビングは、白とベージュを基調としてる。朽木さんのイメージカラーは黒だけど、部屋は全体的に優しい色合いなのだ。
 
 リビングの真ん中には白いモダンなテーブル。その上にも壁にも装飾品の類はない。
 
 ちょっと、淋しい感じ。
 
 だけど、そんな壁も家具も淡い色で統一された中、テレビ台の上に置かれた古めかしいレコードプレーヤーがちょっと異色を放ってた。
 
 そこだけ妙にアンティーク。
 
 ジャズやクラシックが好きなんだろうな。
 
 
「で、何の用だ?」
 
 キッチンに向かいながら尋ねる朽木さん。
 
 用が終わったらさっさと出て行けと言わんばかりの素っ気無い口調がまたしびれる。
 
「えっとね、頼みたいことがあるの」
 
 言いながらあたしはバッグから荷物を取り出し、テーブルの上に並べ始めた。
 
 辞書、筆記用具、レポート用紙、課題の資料、その他もろもろ。
 
 それを見た朽木さんの眉間に、みるみる皺が寄っていく。
 
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