とんでも腐敵☆パートナー
「朽木さんはホントにその量こなせるの?」
 
 祥子ですらできるかどうか。
 
「このくらい余裕だ。お前のそれは、スキャナで読み込んで翻訳ソフトにかけるか? 完璧じゃないが、いちいち分からない単語を辞書でひくよりは幾分効率的だろう」
 
 翻訳ソフト! そんなモンもあるんだったこのご時世は。
 
「是非お願いします!」
 
 あたしが頼み込むと、朽木さんはひとつ頷いて、こないだあたしが鼻血を出した部屋に移動した。
 
 この部屋も、リビングに負けじとだだっ広い。だけどリビングほどゆったりに感じないのは、壁一面を覆い隠す本棚の所為だろう。
 
 あたしなら、この本棚は漫画や同人誌で埋め尽くされるんだろうけど、一見してそんな軽い読み物はなさそうだった。
 
 全部専門書の類。図書館かここは。
 
 こんなとこで朽木さんはあたしを押し倒そうと……いや、あれはそんな気なさそうだった。脅かすだけのつもりだったんだろう。
 
 余計なことを思い出してしまって頬が熱くなる。
 
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