とんでも腐敵☆パートナー
あ、いい香り。気分が落ち着く。
「少し休憩するか?」
朽木さんがあたしにコーヒーを淹れてくれたんだと、英文でぐちゃぐちゃになってた頭に徐々に染み込んできた。
「うん」
カップを手に取り口をつける。
はぁ~~美味しい……。
ほんのりとした苦味と深い味わいが口に広がり、えもいわれぬ心地良さが喉から鼻に抜けていく。
疲れが、溶けていくようだ。
うちのネスカフェとは段違い。ちゃんと豆を挽いて作ったんだろうな。
ふと壁に掛けられた時計を見るともう10時。
窓の外に目を向ければ当たり前の真っ暗闇。相当集中してたんだなーとちょっと我ながら誇らしい。けど、課題はまだ残ってる。
「朽木さん……今日は……」
「まぁこのまま徹夜だな」
「ここに泊まってもいいの?」
「お前はいいのか? 家の人は?」
「電話いれれば大丈夫。よく同人誌作りで外泊するし」
「じゃあ泊まってけ。といっても寝る暇があるかは分からんがな」
「朽木さん、ありが……」
ぐ~きゅるる
感謝の言葉は腹の虫に遮られた。
朽木さんの頬が僅かに緩む。
「何か食べるか。あり合わせのものしかないが」
あたしは勢いよく二度頭を縦に振った。
もうお腹ぺこぺこ。朽木さんの手作り食べたい!
こないだ鼻血出した後、朽木さんが作ってくれたパスタはお店で食べるのと変わんないくらい美味しかった。
料理も上手な男。市場に出たら競り合いが凄いだろうな。
ぼーっと疲れた頭を休めながらコーヒーを飲む。しばらくすると、朽木さんがチャーハンを手に戻ってきた。