とんでも腐敵☆パートナー
Act4. とんでも腐敵な海水浴!

4-1. スパイにグラサンはかかせない

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 その日は俺の願いも虚しく、朝から快晴だった。
 
 俺達の大学の正門前。
 
 この待ち合わせ場所に、既にメンバー全員集合している。
 
 忌々しくも、俺と拝島のドライブデートを妨害し、海に行くことになったメンバー、だ。
 
 男は俺と拝島と高地。女はグリコとその友人二人。計六人となったので、拝島の車一台では足りず、二台の車で移動することになった。
 
 その二台の車は、正門前の道路端に寄せられ、出発を今か今かと待っている。
 
 車に寄りかかってた俺は、出発を促すつもりで、前方の赤い車の傍に立つふたつの人影に目を向けた。
 
 セピア色に染まった世界の中で、友人二人がなにやら楽しげに密談している。
 
 友人といってもその二人の位置付けは天と地程もの差があるが。
 
 一人は、俺にとっては友人以上恋人未満の存在の拝島。
 
 もう一人は、友人というのもおこがましい、お邪魔虫以下の存在の高地。
 
 そして、視界に入れる程の値打ちもない、腐女子グリコとその友人二人が俺の隣で煩く(主にグリコが)雑談していた。
 
「暑いわね。こんな日に外出なんて正気じゃないわ」
 
「たまには太陽の光を目一杯浴びるのも悪くないよ祥子」
 
「あたし、先週も先々週も海だったのよ。男ってどうしてあんなに海が好きなのかしら」
 
「真昼の水着姿が見たいからに決まってるじゃん! あたしも真昼のセクシーなボディラインが拝めるかと思うと……ぐふふふ」
 
「寒いこと言わないでよグリコ」
 
「同性だってキレイな体には興味あるの!」
 
 グリコの女友達はどうやら冷めた性格らしい。既に終わった自己紹介を聞いた限りでも、グリコの友人をやってるのが不思議な程に落ち着いた二人だった。
 
 顔の造形も悪くない。美人の部類に入るだろう。この二人を見た瞬間、高地が飛び上がって喜んだのは言うまでもない。
 
「朽木ー!」
 
 高地に呼ばれ、面倒だが足を動かす。話があるなら自分から来い。と言いたいところだが高地にはそこまで自分を見せてない。知り合いが多い奴なので、地の顔を見せるのは後々面倒を引き起こすかもしれないからだ。
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