とんでも腐敵☆パートナー
「なんだ?」
 
 拝島の赤い車の横に、拝島と並んで立つ高地に返事を返す。
 
「遠目で見てもなんか迫力あったけど、近くで見るとますますマフィアっぽいなお前」
 
 近付くにつれ、阿呆面をさらに呆けさせた高地が洩らした。
 
 恐らく、今俺がかけてるサングラスが問題なのだろう。
 
「強い日差しは苦手なんだ。そんなにおかしいか?」
 
「いや、逆に似合いすぎてこえぇ」
 
 似合ってるとなんで怖いのか。俺の見た目はそんなにチンピラくさいのだろうか。
 多少なりとも容姿には自信があるんだが。
 
 それともこの黒のポロシャツがいけないのか、と広めに開けた襟ぐりを引っ張ってみる。
 
 確かに、下も黒で全身黒ずくめなのは洋画に出てくるスパイのようだ。だがマフィアはちょっと違うだろう?
 
「日本人に見えないんだよね。朽木、男の目から見てもカッコイイからさ」
 
 屈託ない笑顔の拝島がフォローなのか、そんなことを付け足してくれた。
 
 拝島は今日もいつもと変わらないシンプルなTシャツとジーンズ姿だ。オレンジの細長いシャツがやや細身の体躯に良く似合う。そう言う拝島こそ、すらりとした長い足は日本人離れしてると思うのだが。
 
「おいおいお前ら二人と並ぶと、俺ってばまるっきりオマケじゃん」
 
 対して高地の格好は派手なアロハシャツに五分丈ジーンズにサンダル。こいつの見た目こそチンピラくさい。
 
「ま、そんなことよりさ、車に乗る組分けなんだけど」
 
 今日、車を出したのは、拝島と俺だ。高地は車を持ってなかった。車も持たずしてドライブに誘おうとは厚かましいことこの上ない。グリコといい勝負かもしれん。
< 78 / 285 >

この作品をシェア

pagetop