とんでも腐敵☆パートナー
「俺とグリコちゃんの友達二人で朽木の車に……」
 
「なんで二対四になるんだ。三対三に分けるべきだろ」
 
 俺は即座に却下した。
 
 高地のことだから、そうくるとは思っていた。両手に花とでも目論んでるんだろう。
 
 高地の思惑などどうでもいいが、それだと拝島がグリコと二人きりになる。そんな危険なことは避けたかった。
 
 ちなみに俺の車はBMWだ。拝島のミニとは比べものにならない程パワーが違う。違うというのは下ではなく上の方だ。拝島の車に四人乗ることはあり得ない。
 
「俺とグリコとその友達一人。もう一人と高地が拝島の車。それでいいだろ」
 
 静かだが押しの強い口調で言う。反論は言わせるつもりはない。
 
「うっ……やっぱダメか? う~~どっちか一人か~~~どっちがいいかな……。どっちも可愛い子ちゃんなんだよな~~~」
 
 高地はまるで人生の岐路に立たされた者の如く真剣な表情で悩む。
 
 阿呆らしい。一生悩んでろ。
 
 悩める高地は放っておいて、後方にある自分の車の元に戻るべく、踵を返した。
 
「グリコ。行くぞ」
 
 俺の車の横で待機してたグリコに声をかけると、グリコは友人二人を伴って嬉しそうに駆け寄ってきた。
 
 そこで俺は何故だかグリコが当然俺の前で止まると思ってたのだが。
 
「わーい! またミニちゃんに乗れるんだー!」
 
 心底嬉しそうな声でそう言いながら、俺の前を素通りしていくグリコに、俺は僅かながらも戸惑ってしまったのだ。
 
 
 なんだと?
 
 
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