とんでも腐敵☆パートナー
「私なら気にしないわよ。既に十分曲解できるような情報をグリコから聞いてるから」
 
 思わず車体を左右に揺らしてしまった。
 
「グリコ……お前、周囲に何を吹き込んでる……」
 
「えっ!? あたし、そんなにヤバイこと教えた? 鬼畜攻め生徒会長ってことくらいしか言ってないよね!?」
 
 それだけ言えば十分だ。
 
「後で覚えてろよ」
 
 ミラー越しに睨みつけると、悪びれもしてない顔に、取ってつけたような愛想笑いを貼り付けて「ごめーん」と首を傾ける。まったく危険極まりない女だ。このまま海に沈めてやろうか。
 
 それから爽やかな景色の中、爽やかでない会話が続き、気付けば目的地に到着していた。
 
 
 
 足の裏が焼けつきそうな程の熱を帯びた砂浜に降り立った時、俺は高地の誘いに乗ったことを猛烈に後悔した。
 
 青い海。白い砂浜。
 
 そんな情緒は破壊し尽くされてる。
 
 視界を埋める赤、青、黄、その他256色ではきかないのではと思う程の様々な色彩の群れ。海中にも、砂浜にも、景観の残骸すら感じ取れない程に侵食している。
 
 つまりは人ゴミというやつだ。
 
 そんなに大きな海水浴場ではなかったと思うのだが、やはりこの暑さ故か。家でじっとしてられない類の連中が所狭しとひしめき合っていた。
 
「……帰るか」
 
「賛成」
 
 俺と立倉は意見が合うようだ。似たもの同士なのかもしれない。既に帰る気満々で呟いた。
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