とんでも腐敵☆パートナー
「えーっ! せっかく来たのに何言ってんの!? 泳ごうよー!」
 
 来た道を戻ろうと思ってたところを、グリコに掴まれる。見ると隣の立倉も腕を掴まれていた。グリコは不満気な顔で俺と立倉をそれぞれ片手で引っ張り、砂浜に連れて行こうと必死だった。
 
「あの海岸に泳げるスペースなんかあるか! 既に満員御礼だ!」
 
「あの程度の人ゴミに負けるくらいの信念でどうするの!? 夏コミはこれの比じゃないのよ! 戦わずして敵前逃亡などあたしは認めない!」
 
「知るか! 勝手に戦ってろ!」
 
 そんなくだらないが生死をかけたやり取りをしてると、後から追いついた拝島と高地が声をかけてきた。
 
「朽木ー! すごい人だねー!」
「おーっ。盛況だなー! 何してんだよ早く行こうぜ!」
 
「そうは言ってもな高地。あの状態じゃ……」
 
 俺は嫌そうなしかめっ面をしたが。
 
「とりあえず、場所があるか見て回ろうよ。泳がずに帰るのももったいないじゃん」
 
 にこっと笑って言う拝島にほだされてしまった。
 
「……まぁ……場所があればな」
 
 つい口ごもってしまう。
 俺は少し拝島に弱すぎるか?
  
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