とんでも腐敵☆パートナー
 しばらく砂浜を歩くと、残念ながら空いてる場所が見つかった。一人で文句ばかり言うのも大人気ないので仕方なく確保する(既に立倉は諦めたようだ)。心の中で呪詛を吐きながらではあるが。
 
 先に男三人が更衣室で水着に着替え、残る女三人が着替えてる間、レジャーシートを広げたり飲み物を調達したりなどの準備をすることになった。
 
「朽木ー! パラソル借りてきたよー!」
 
 買ってきた飲み物をシートに置くと、背後から拝島の声に呼ばれて振り返った。
 
 瞬間、目が眩む。
 
 拝島とは海にも旅行にも共に行ったことはない。だから、拝島の素肌を見るのはこれが初めてだったわけだが。
 
 ……まずい。むらっときた。
 
 ここが公共の場でなければ思わず抱き締めてしまったかもしれない。
 
 細身ながらも程よく筋肉のついた体。
 バイトで肉体労働してたからだろうか。思ったより逞しい。
 
 その体は完全に成人男性のものではあるのだが、全体的に毛が薄く、少年がそのまま逞しく成長したかのような危ういバランスがあった。
 
 一言で言うと、綺麗だ。
 
 今すぐ俺のものにしたい。
 このまま攫ってしまいたい。
 
 だが、その欲望を実行に移すわけにはいかない。
 
 俺はその気のないノンケでも、無理矢理押し倒してその道に引きずり込む自信はある。実際、何度もそうしてきた。
 
 だが、拝島にはそれをしたくなかった。
 
 できるだけ、傷つけたくなかった。
 
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