とんでも腐敵☆パートナー
「待てよオネーチャン」
 
 凄む下卑た男達。
 かなりまずい状況だった。
 
 ってあたしの存在は無視されてないかヲイ。
 
 お呼びでない? あたし、お呼びでないってか?
 
 こんな状況にも関わらず、下品な車に蹴りを入れてやりたくなった。
 
「二人を離しなさいよ!」
 
 怒りをこめた目で男達を睨み、怒鳴りつけるあたし。
 
「ちんくしゃは黙ってろ!」
 
 をい。
 
 今なんつった。
 
 あたしをちんくしゃ呼ばわりした? この雑魚チンピラ共。
 
 次の瞬間。
 
 一瞬にして沸点に達したあたしは、祥子を掴む男の腕に思いっきり噛み付いてやったのだ。
 
「ってぇ――――っ!!」
 
 男が怯んだ隙に手を払いのける祥子。続いてあたしは真昼を掴んでる男の顔に、弁当箱を力一杯ぶつけてやった。
 
「走って二人共!」
 
 あたしを掴もうとする男の手をかわし、二人の背中を押す。
 
 祥子と真昼は心得て駐車場の入り口に向かって走り出した。
 
「駐車場を出れば人目があるから!」
 
 祥子があたし達を励ますように叫ぶ。
 
 背後で車のドアが荒々しく開く音がする。
 
 逆上した奴らが人目を気にしてくれるかどうかは定かではない。
 
 あたしはアメリカ映画ばりに「ヘルプミー!」と叫ぶべきかどうか逡巡した。
 
 と、目前の囲いのフェンスの向こうに、見慣れた人影が歩いてるのを見つけて、その瞬間、あたしは声のあらん限り叫んだ。

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