とんでも腐敵☆パートナー
「朽木さ――――――んっ!!」
刹那、フェンスの向こうにいた筈の朽木さんの姿が消えた。
と思ったら、次の瞬間、駐車場の入り口から現れた朽木さんが、あたし達に向かって駆け寄ってきたのだ。
加速装置でもついてるんか!?
あっという間に合流するあたし達。
「グリコっ!」
祥子と真昼を後ろに庇い、立ちはだかる朽木さんの横に並び、あたしは男達に向き直った。
「あいつら、祥子と真昼に乱暴した!」
向かってくる男達は、あたしの噛み付きそうな様子と朽木さんの迫力に呑まれてか、反射的に足を止めた。
「うちの連れが、何か?」
ずいっと一歩前に出て凄む朽木さん。
グラサンかけてるから多分怖いと思う。
あたしは無言で朽木さんのパーカーのポケットを叩く。
朽木さんは同じく無言でそこから携帯電話を取り出し、あたしに渡してくれた。
「しつこいとケーサツ呼びます」
視線は男達を睨んだまま。
キーに指をかけるあたし。
「うっ……」
雑魚チンピラ達は怯みながら一歩下がった。
そして。
しばしあたし達とチンピラ達の睨み合いが続き。
やがて何事かと通りを行き交う人達が足を止め、人だかりができ始め。
「……チッ」
男達は悔しそうに吐き捨てると、体の向きを変えて去って行ったのだった。
「………………ほーっ……」
安堵と共に、どっと疲労感が押し寄せてきて、あたしは深々とため息をついた。
「度胸だけは一人前だな」
くしゃっと頭を撫でられる。
誰かなんて考えるまでもない。
「うん、ハッタリ得意だから」
あたしを見下ろす朽木さんを見上げ、にやっと笑って言い返した。