とんでも腐敵☆パートナー

4-3. 多少のお焦げは愛情でごまかせ

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 何故、こんなことになってるんだ。
 
 などと考える前に、体は動き出していた。
 
 スポーツはあまり好きではないが、できる方だった。足も陸上部にしつこく誘いをかけられたくらいには速いので、人並み以上はあるのだと思う。
 
 とにかく、俺の名を呼ぶグリコのもとに駆けつけるのに、ものの十秒とかからなかった。
 
 この駐車場は簡易フェンスで囲まれただけの屋外駐車場だが、周囲を建物に囲まれてるので意外と見通しが悪い。
 
 奥の方で何か起こってるとしても、人目につきにくいのだ。
 
 俺がグリコ達の後を追った理由はまさにそれであり、最近、この駐車場で車上荒らしが頻発しているという注意書きを目にしたからだった。
 
 あんな腐女子でも一応女だし、友人二人は普通にナンパされそうな美人系だ。やはり女の子だけで行かせるのは心配だと拝島が言うので、渋々俺が後を追いかけることになった。
 
 だが、まさか本当に絡まれてるとは思わなかった。
 
 フェンスの向こうからこちらに走り寄ってくるグリコ。その必死な叫び。
 
 背後にはガラの悪そうな連中が数人見えた。
 
 その瞬間にはもう、俺は走り出していたのだ。
 
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