目を閉じてトリップ

 翌日もハルカは指輪作りに励んだ。

「ハルカ、洗濯物とりにきてね」

 ドアの向こうから呼ばれてハルカは立ち上がった。軋む身体を伸ばたり曲げたりを繰り返してから廊下に出る。

 ハルカはアムレが若いときのおさがりを何着かもらい、着回していた。そのカントリー調の穏やかなデザインはハルカも好きだった。この町に来たときに着ていた高校の制服はハンガーにかけられクローゼットに眠っている。

「はい、これ」

 綺麗に畳まれた服を受け取りハルカは部屋に戻った。そして、窓辺にまた可愛らしい袋を見つける。中には色とりどりに包装されたキャンディが入っていた。

「……また」

 ハルカは服をベッドの上に置くとキャンディを持ってダイニングに戻った。

「アムレさん、またこれが……」

「今度はキャンディかい。作業しながらも食べれるじゃないか。わたしはいいからハルカがお食べ」

「半分いらない?」

「あんたへのプレゼントなんだからあんたが味わうべきよ」

 掃除用のエプロンに身を包んだアムレは少女のように笑ってハルカを小突いた。

 ハルカはまた首を傾げるばかりだった。
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