君へ

20

夜10時を過ぎてきてなおを寝かせる為に部屋に送り、溜めていた仕事をするために隣の自室のパソコンに向き合う。
早く終わらせたくて集中していると、もう午前を過ぎていた。
「いつの間に…なおはちゃんと寝れてるかな…」
気になるのは彼女の事だけ。
小さな頃はよく夜や暗闇を怖がって泣いていた。
今はどうだろう。
気になると今まで集中していたのが嘘のように指が動かない。
寝顔を見るだけ。
見て安心したらまたしっかり仕事するから。
自分に言い訳しながらも部屋を出てなおの部屋の前に来てしまう。
でも流石に躊躇してしまう。
どうしようかな。
ノックをして起こしてしまうのも。
かといって無断で部屋に侵入するのもどうかと…。
「…っ……っ」
考えているとなおの部屋から漏れる声。
泣いている…?

我慢出来なくてドアを開けると微かな光。
ベットサイドのスタンドライトがぼんやり部屋を照らしていた。
やはり暗闇には慣れていないのだろう。
静かにベットに寄ると意中の人はいなかった。
ふと目を向けるとベットを挟んで向かいの壁の間に毛布に包まれた塊。
震えている。
何時からそうしていたのだろう。
ベットを周りゆっくり近付く。
「なお」
そっと毛布に触れる。
「ひっ」
びくりと毛布が揺れる。
毛布が擦れて赤くなった瞳が覗く。
「……っっ」
ライトが小さくてシルエットしかない俺に怯えているらしい。
声にならない悲鳴が漏れる。
今まで抑えてきた癖が抜けないのだろう。
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