キミに触れたくて。


地元の花火大会であったため、私達が一緒にいるところを、たくさんの人に目撃された。



既に夏休みに入っていたが、補習で毎日学校に来ていたため、いろんな人に聞かれた。



「杏ちゃんて、岡田と付き合ってるの?」


私がうなずくと、みんな同じことを言う。


「あんな男、どこがいいの?」



確かに…どこが好きかと聞かれても、すぐに答えられない。

正直、私は彼氏が欲しかっただけだから。




亮佑は亮佑で、バスケ部の仲間にこう言われたらしい。


「何でお前と七瀬さんなんだよ。お前にはもったいない!」



でも、亮佑は嬉しかったらしい。

そうやって、周りに嫉妬を妬かれることが。





それから、私は部活をサボるようになってきた。


私が所属しているソフトテニス部には、いっさい休みがなかった。

そのため、せっかくの夏休みなのに、亮佑と遊べないのが嫌で、部活を休むクセがついた。

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