キミに触れたくて。
新学期も始まり、進路を決める時期がやってきた。
私も亮佑も理系クラスにいたので、大学も工学系に進む予定だった。
しかし、私が元々理系クラスに入ったのは、私の意思ではなかった。
高校1年の冬、私は美大進学を希望していた。
しかし、進学率を優先に考える学校だったために、担任からこう言われたのだ。
「お前、どうやって美大に行くつもりだ?そんなとこ行っても、将来ないぞ。数学得意だから、とりあえず理系クラスに進め。」
そして嫌々理系クラスに行ったのである。
しかし、私は美大進学を諦めきれなかった。
2年の担任にも、同じようなことを面談で言われたのだ。
「どうしてもデザイン系に進みたいなら、工学部に行って、建築でも勉強したらどうだ?」
「はぁ…」
私は、しっかりと返事を返すことができなかった。