キミに触れたくて。
「まず…君は国立?それとも私立?」
「お金の問題もあるので、国立がいいんです。」
そう言って、いくつか大学の名前をあげると、先生の顔が厳しい表情になった。
「正直、難しいよ。美大っていうのは、実力勝負だし、たくさん絵を描かなきゃいけない。君、部活は?」
「テニスやってます。」
「なら、それやめなさい。部活やりながらなんて、無理だから。」
正直困った。
部員が少ないのに、やめることなどできない。
しかし、ここは決断しなければいけない時。
「じゃー…来週から、絵を教えてください!」
そう答えると、また先生はニコッと笑った。
部員に何も相談なしに勝手に決めてしまったことに罪悪感を覚えたが、そんなことは言っていられない。
私の人生だから、私が決める。
それから部活に行き、コーチにも相談した結果、土日だけ部活に出ることにした。
みんなには迷惑をかけてしまうが、快く私の進路を応援してくれた。