キミに触れたくて。
#2 別



11月、私は毎日絵を描き続けた。


放課後が待ち遠しくて、仕方なかった。




私の他に美大志望の人間は、現時点で5名。


そのうち私と学年が同じ子は、1人しかいなかった。


中谷さん。

見た目はおとなしそうだが、毒舌。

そして奇抜な服装。



なかなか打ち解けない感じだった。





あとの3人は、男の先輩。

前に廊下で見た、眼鏡2人と甘い香りのする人。




私は絵を習った経験がなかったので、他の4人とは、全く別行動だった。



一人でスケッチブックとモチーフに向かって、黙々とデッサンをし続ける私。


先輩と言葉を交わすとしても


「さようなら…」


と、一言だけで話したりはしなかった。







ある日、亮佑にスケッチブックを見せた。

褒めてもらえると思っていたが、亮佑からは冷たい言葉が返ってきた。


「俺、絵とか興味ないし。」





私はそれから一度も絵を見せることはなかった。


< 20 / 59 >

この作品をシェア

pagetop