キミに触れたくて。
先輩は、ある美大の空間デザインを目指していた。
先輩のお母さんが、そこの出身だったらしい。
なんとなく服が好きで、ファッションの専門にも行きたいが、とりあえず大学受験をしてみようと言うことで、こうして毎日絵を描いているのだ。
「七瀬さんって、雑誌読む?」
絵を描きながら、先輩が質問をしてきた。
「Zipperとか読みますよ。」
「あー、やっぱり。奇抜だもんね、七瀬さん。」
また笑ってくれた。
私の高校は私服だったため、どんな服を着ても自由だった。
私は目立つのが好きだったため、とにかく奇抜なかっこをしていた。
「先輩は何読むんですか?」
「俺は装苑とか。ファッションの勉強するためにね。あ、そうだ!今度Zipper持ってきてよ。俺もじっくり読んでみたいし。貸し合いっこしよ。」
そうやって、服の話をしている時の先輩は、本当に楽しそうだった。