キミに触れたくて。


玄関で靴をはきかえて帰ろうとすると、外は少し雨が降っていた。



(あぁ…今日傘持ってきてないや。)


私が乗るバス停まで、歩いて20分ほどあった。

しょうがなく、早足で玄関をあとにした。



すると後ろから、小走りで誰かが近づいてくる。


急に視界がさえぎられ、振り返ると、先輩が息を切らして立っていた。


「雨、濡れるよ?」

そう言って、傘に入れてくれた。


昼間の光景が頭から離れなくて、先輩に思わず聞いてしまった。



「先輩って、彼女いるんですか?」


すると、遠くを見つめながら言った。



「秘密。」


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